この間の3連休の土曜日には、かなり、久し振りに、
YMOの高橋幸宏さんの久し振りのソロ・アルバムのコンサート・ツアーへ行って
来ました。
そのレポートを致しますね。
今回は音楽ネタだから、マニアックだよ(笑)
【高橋幸宏さんのコンサート参加への長い長いブランク】
●高橋幸宏さんのソロ・コンサートへ行ったのは、恐らく、
「YMO」や「The BEATNIKS」や「スケッチ・ショウ」「サディスティック・ミカ・バンド」何かの
他での活動意外では、18年振りでは無かったろうか。
恐らく、最後に行ったのは1994~1995年の「Mr.YT」「Fate of Gold」と云うアルバムあたりの
コンサート以来の記憶である。
●何か、そのあたりで、実は、高橋幸宏さんのレコードは、あまり聴かなくなった時期が、
1990年代は、実はあった。
1980年代の今でも聴ける「名盤」の数々に比べると、歌詞に比重が行き過ぎて、音楽的には、ちょっと敬遠していたものも結構あった。
「EGO(1988)」はコンサートにも行ったし、今でもよく聴く「名盤」の1つであるし、
「A Day In The Next Life(1991)」の「360°」と云うプリファブ・スブラウト的な曲は、
今でもよく聴くが、
それ以降、段々と、距離を置く様になったのは確かだ。
でも、僕の意思とは無関係に「コンサート・チケット」を取ってくれる、おせっかいな(笑)友人の誘いで、実は、1990年代半ば迄は、コンサート自体は、ちゃんと行っていた。
然し、実際、幸宏さん自体、40代に入って、ドラムを叩く姿より、キーボードを弾きつつ、歌うスタイルに、もの足りなさを感じていたのも事実であった。
大人のラブソングみたいなものが多くなって来て、このまま行ったら
「元アリスの堀内孝雄になっちゃうんじゃないか?」と心配した記憶だ(笑)。
今でも、1990年代の高橋幸宏さんのソロ・アルバムで、よく聴いていない、憶えていない曲も、
実は沢山ある。
●その後は、多摩美時代の旧友の男女2人組ユニット「BE THE VOICE」が高橋幸宏さんのレーベルのコンテストで、最終選考まで残って、インディー・デビューした1998年頃に、彼らも含め他の新人発掘的なライブに出演しているのや、今は亡き「原宿RUIDO(現:ニコニコ本社ビル)」と云うライブ・ハウスで僕の真後ろで、緊張した面持ちで、客席から新人達のライブを静観されていたのを記憶している。
●友人のユニット「BE THE VOICE」の和田純子が「The Dearest Fool(1999)」で、デュエットした辺りから、テクノ的な文脈も復活したと記憶している。
(スティーブ・ジャンセンとのユニット「PULS」も同時期じゃなかったかな)
●そして7年の歳月が流れ、2006に「BLUE MOON BLUE」を発表。
友人の「BE THE VOICE」の鈴木俊治がギターで、レコーディングで参加したので、
記憶があるが、サウンド的には「エレクトロにカ」「フォークトロニカ」的で、ちょっと物足りなかった記憶である(僕は、イングランドへ半年住んで居たので、日本の音楽状況に段々と、疎くなっていた)。
●2007年の「HASYMO再々結成」、2008年の「PUPA」を経て、2009にリリースされた
「Page By Page(2009)」は、ジャケットでの、幸宏さんの現在のスタイリッシュなファッション姿への
回帰は壮快であったが、
サウンド的には、又もや「エレクトロにカ」「フォークトロニカ」路線。
僕はBASSを弾いているせいか、
「スケッチ・ショウ(2002)」から続く、低音の弱い「エレクトロにカ」「フォークトロニカ」路線には、既に、
飽き飽きしていたのも事実ではあった。
(どちらかと云うと、2001年の、The BEATNIKS名義の「M.R.I.」の方がむしろ、よく聴いていた記憶である。)
【高橋幸宏 with In Phase Live Tour 2013への経緯】
●まぁ、そんな長い時を経て、やっとこさ18年振りくらいに、ちゃんとしたソロ・コンサートへ行って来たと云う訳であった。
●このブランクには、理由が2つある。
1つ目は、多摩美時代からよくバンドを一緒にやっていた鈴木俊治のツアーへのギターでの参加を
今夏7月の「BE THE VOICE海LIVE」を観に行った際に、鈴木俊治くんより直接、
「幸宏さんの今度のソロ・ツアーへの依頼が来たよ! 然も、
元スマッシィング・パンプキンズ(スマパン)のジェームス・イハーと共演する事になったよ!」
と聞いた事であった。
まぁ、旧友の「成功・願望実現」を嬉しく思ったのである!
2つ目は、全曲生ドラムスを叩きつつ歌うと云う、YMOでもやってい無かった初の試しみ!
「エレクトロにカ」「フォークトロニカ」路線に、既に、飽き飽きしていた僕は、
「幸宏さんがドラムを叩く! 然も、歌いながら全曲!?」と云う所に飛びついた!!!
まぁ、2010年くらいから「World Happiness」で、YMOが生演奏を復活させていた辺りから、打ち込みテクノでも、「エレクトロにカ」「フォークトロニカ」路線でも無い、生演奏のダイナミズムは復活していたが、
ソロでそれが、全編出る!と云うところに食いついた訳である!
●打ち込み的サウンドは、80年代は、面白かったけれど、90年代以降、
今ひとつ、ピン!とは来ない自分が居たのも確かである。
まぁ、フリッパーズ・ギターの様な「渋谷系ギター・ポップサウンド」に比重が行っていた事もあったのも
理由の1つではある。
80年代の打ち込みサウンドは「音圧・音色」と「楽曲」が一致していて、今でも、ちゃんと聴けるものが多い。
然し、電子楽器の発達とは裏腹に、魅力的なサウンドは、80年代の初頭の頃の様な、ダイナミズムを失っているとも感じていた。
1990年代の「テクノ・サウンド」は多様ではあったが、何か、
◆チープでファンシーな「携帯電話の着信音やゲーム・サウンド」。
◆小室哲哉的な、音圧ばかりウルサい「パラパラ系テクノハウスのサウンド」や「ジャングル・ビート」
(決して、ハウスが嫌いな訳では無い。初期のイタロ・ハウスやガラージ・クラシックスなんかはよく聴いていましたもの)。
◆「RAINBOW 2000」(実際、行ったなぁ~)に代表される野外大イベントやレイブ・シーンによく存在していた、重く暗いネガティブなビートの「トランス・テクノ」「ゴア・トランス」等には、
辟易としていたのも事実であった。
音楽としては「如何にもなニュー・エイジ風」なものも多く、楽曲として「退屈」なものが多かった記憶である。
僕は、主に「アンビエント・テクノ」や「アシッド・ハウス」を、よく聴いていました。
そんな中には、好い意味で「変成意識」を起こすものもありましたが。
(1990年代の「セカンド・サマー・ラブ」と云うキャッチ・フレーズが懐かしいが、
60年代の「サマー・オブ・ラブ」と同じく、2~3年くらいしか、実質は持たなかったと記憶している)
1990年代の「アシッド・ハウス・テクノ」としては「名曲」!
話を元に戻そう(笑)
●そんな、最初だけは「珍しいだけの」ビートの「90年代テクノ」や「エレクトロニカ」「フォークトロニカ」は、結局、個人的には、次第に飽きてしまうものではあった。
それに反して、とても心地の好い「ビート」や「グルーブ」を大切にした、
「楽曲」の構造も音楽的に「確りした」サウンドを求めていた僕に、
幸宏さんの今回の「ソロ・アルバム」と「ソロ・コンサート」は心地の好い音でありました。
●そんな事を云いつつも、チケットを取ったのは8月のお盆あたり。
(渋谷オーチャードホールと云う大箱で無く、敢えて、クラブクワトロと云う狭いハコを選ぶ!)
ましてや「最新ソロ・アルバム」の「Life A new」は、7月にリリースされていたものの、
コンサートの3日前にAmazonから買って、2回聴いただけと云う有り様(苦笑)
(もう8月あまりの暑さに、iTunesからダウンロードする事すら、面倒臭い感じでした、汗。)
然し、届いたCDの封を開けて、CDラジカセから聞こえて来るサウンドは、直ぐに、耳に馴染み、
「おぉ、いいじゃん!」と!! 僕の耳は反応しました。
これは、10代の頃より、無節操に雑食的に、何でも摂取して聴いて来た、キャリアの賜物です!
●元になっているサウンドが、割とアメリカの60年代~70年代初期のサウンド的色彩が濃厚で、
そういうものを中学・高校・大学時代とちゃんと、聴いて育っていたのが蘇って来た感じでした。
「ニッティー・グリッティー・ダート・バンド」「CSN&Y」「ザ・バーズ」
「バッファロー・スプリング・フィールド」「ニール・ヤング」「ポコ」「イーグルス」
「ザ・バンド」「プロコル・ハルム」「フリー」「ムーディー・ブルース」「スティーブ・クロッパー」等々、
が頭をよぎる!
それらが、「イギリスのNEW WAVEやブリティシュ・ビートだけじゃ無くって、
色々と、アメリカン・ロックの旧いのも聴いてたんだなぁ」と、
思い出しましたよ!
僕、この曲、何かのバンドで、BASS弾いた記憶があるんだよ!
「ニール・ヤング」の名曲!
中学の時、West Coastサウンドとして、やっぱり、よく聴いていたなぁ。
中学2年の時、このレコード聴いてたよ。どんな中学生だ(笑)
●今回は、完全に「バンド・サウンド」になっていましたね。
「妙なユニット」でも「奇をてらったサウンド」でも無い。
かと言って、最近の「バカスカ」と音が、緻密で無くラフでウルサい類いのものでも無い!
昨今風潮を反映した「湿った風潮のメッセージ・ミュージック」とも違う。
勿論「AKB48」や「ももいろクローバー」の様な企画物や、
「お懐かしもの」でも無い!
幸宏さんのドラムも、とても好い感じの音!
(何か、上手くなっている様に、聴こえるんですよ)
実際、ライブに行って、400〜500人程度のキャパのハコでも、あれだけ安定して粒の揃ったドラム・サウンドを聴いて「あぁ、やっぱり、そんじょそこらのドラマーとはセンスが違う!」と感じましたよ!
然も、還暦を越えて、あの体力は結構大変なのに、歌まで叩きながら丁寧に仕上がっている。
若い人達には、真似の出来ないサウンドだと思いました。
(でも、渋々と云う枯れたものでは無く、むしろ、50代より元気に観えました)
●旧友の鈴木俊治くんのギターも安定して、好い味が出でいました(まぁ、昔から、大人びた、音をを出すのは、得意でしたが、微笑)。
もう、James Iha:ジェームス・イハー(g)、堀江宏久(Key、マンドリン)、高桑圭(Bass)、権藤知彦(ユーフォニューム)、LEO今井(g)と、全体がとても短い期間(1週間のツアー)で出来上がったとは思えない
「バンド」になって居ました。
James Iha:ジェームス・イハー(g)のギターも、何だろう、僕的には、ROXY MUSICのフィル・マンザネラ的な感じでね、徳竹弘文さんや大村健司さんや小山田くんとも違う。
「バンド」って、タダでさえ難しい面が或るんですよ!
中々、まとまらないんです!
幸宏さんを尊敬している人達がちゃんと、脇を固めて、団結している。
そんな感じでした。
それも、恐らく、幸宏さんの「優しくて暖かく面倒見の好い性格」が滲み出ているからだと、
感じました。
●然し「渋谷クラブ・クワトロ」って「Seagull Screaming Kiss her Kiss Her」を2000年くらいに観に行ったきりで、もの凄い久し振りでした。
でも、あのビルの3F以下は洒落たブティックだったのが「BOOK OFF」になっちゃって、何だか、こけら落としで「バーシア:BASIA」を観に行ったバブルの時代とは変わっちゃって、何か、ぞんざいなビルになっちゃったのが、ちょと、隔世の感ですね。
あそこは、音の好いハコでね、今は亡き「インクスティック芝浦ファクトリー」と並んで、
その後出来て来る「赤坂BLITZ」とか「クラブチッタ川崎」とか
「渋谷AX」とかの小規模のハコの先駆けなんですよ!
外タレとかも、沢山来日しているしね。でも、あの柱が、やっぱり邪魔だよ(笑)
あそこでは、僕、結構、歴史的なLIVE観ていますね。
「クワトロ自体のこけら落としの時のBASIAのライブ」とか
「フリッパーズ・ギダーのメジャー・デビュー直後のライブ」とか
「プライマル・スクリームのブレイク寸前のライブ」とか、色々と、目撃しているよ。
だから、今回の高橋幸宏さんのLIVEも「東急文化村オーチャードホール」じゃ無くって、
「渋谷クラブ・クワトロ」にして正解!
後々、伝説のLIVEになるからね(恐らく)!
「Another Door」って曲で始まって(意外でした)、
「Something in The Air」の完全生演奏や「April Fool」で終わる
のなんて、サービス感も満載でした!
でもね、去年の「60th Anniversary Live」は目撃出来なかったから、それは、大きなミスだった
なぁ。
今回の幸宏さんのアルバムに近い曲だね!
●30年前くらいによく一緒にYMO周辺とかの人達のLIVEを観に行っていた旧友と僕の3人で観て、
帰りに、当時よく行ってた、居酒屋で、ちょっと飲み食いして、本郷台へ帰宅。
渋谷の居酒屋で、時間が無くてあんまり食べなかったから、お腹空いちゃって、
本郷台のMacで、久し振りの「BIG MACセット」を食べた後に、直ぐに、
鈴木俊治君に、電話を入れたよ!
「今日の凄い、好いLIVEだったよ!」ってね。
★高橋幸宏オフィシャルサイト「room66plus+」
http://www.room66plus.com/?eid=262
NEW ALBUM 「Life A New」からの1曲!
いや、このドラムは、音色・フレーズ共に好いです!
高橋さんは、やはり、世界的に観ても超一流のドラマーである事は勿論、
世界的にも優れたソング・ライターですね。
まさか、この曲がオープニングとは、意外でした!
昔「カセットブックTRA」って言うのに入ってた曲で、アルバムには未収録じゃなかったっけ!?
1981年の名曲! 今回、これも演奏しました。
これも、演りました。何か、もの凄い、久し振りにやったんじゃ無いだろうか。
何故か「荏原郡」的な感じのする曲(笑)
ツアー直前のリハーサルの頃の「In Phaseのメンバー全員」出演の
USTREAMの放送の録画です。
(最後迄、お読みになって下さり、ありがとうございます)
感謝!
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momo8 (木曜日, 26 9月 2013 12:28)
お久しぶりです。こちらでは初めて、コメントします。
いあや、さすが80年代から幸宏を追い続けてる方の耳は違いますね!
90年代半ばの倦怠期?から徐々に復調する流れ、その経過を愛情持って見守り、しかし厳しく音を吟味しながら追ってきたchibaさんの含蓄溢れるレポート最高です!
私は今回オーチャードで見てきましたが、同じく、「今度こそ本格復活かな?」という想いを抱きました。
還暦越えてなお元気、我々の幼い時分には考え難いことですが、昨今のこの国の状況では、こういうのが普通になってきてますね。90年代中期の停滞は、今考えると、幸宏氏が「21世紀の状況に適応するための、訓練期間」だったのかも知れません。なあんて、こじつけのようなことも考えちゃいますw
スケッチショウ以降の幸宏が、エレクトロニカを通じて「新たな音楽性」を獲得して蘇生したのは事実だと思うんですが、ようやく彼の中で消化され、もともと備わってる60~70年代の洋楽要素と上手く融合されて、熟成してきたのではないでしょうか。スケショウのセカンド『loophole』が僕は大好きなんですが、あれから10年、生硬なエレクトロニカの影響を、いい感じに咀嚼出来てきた、というか。
今回、バンドアンサンブルも上々、今後の活動にますます期待といったところでしょうかね。
momo8さん (金曜日, 27 9月 2013 02:46)
お久しぶりです! 何か、mixiが疎遠になっちゃって(汗)
書き込みありがとうございます!
momo8さんは、オーチャード・ホールへ観に行かれたんですね。オーチャード・ホールも行ってみたかったんですけれど。又、クワトロとはひと味違った感じでしょうし。
あはは、何か、幸宏さんの追っかけみたいな文章ですが、実際に、追っかけた事は無いんですよ(笑)
ファン・クラブにも入った事さえ無い(笑)。大昔、ブリックスでと、BE THE VOICE関連ではお会いした事ありましたけれど。う〜ん、でも34年も聴いてきている計算になるのかぁ〜。
momo8さんのおっしゃる通り、今回は、1つの通過点を通り抜けた、気持ちの好さがありましたね。
僕自身、2011年の「The BEATNIKS」の復活以来、幸宏さんの音楽に戻って来ているのは確かです。
僕も渋谷AXで10年くらい前に「ワイルド・スケッチ・ショウ」での、教授と細野さんの邂逅(!?)、小山田君のYMOへの接近&徳武さんとの対照的なギター合戦を観て嬉しかった記憶です。
エレクトロニカは好きでしたが、やっぱり、ミュージシャン的に、生サウンドは、フィジカルな面白さや、好さが伝わって来て、今回は、久々に好かったです。
momo8さんのおっしゃる「90年代中期の停滞(!?)は、今考えると、幸宏さんの21世紀の状況に適応するための、訓練期間」と云うのも、この年齢になって、初めて、解る部分もありますね。
40代って調子悪い人、多いから(笑)
うん、エレクトロニカいい感じに咀嚼・通過しての出来たサウンドなのかも知れませんね。
これからも、幸宏さんやYMOの方達が、面白い事を、やってくれる気配は、嬉しい限りです!!!